本文へスキップ

DSPCはシニアや障害者福祉・地域コミュニティ作りを推進

アロマテラピーと大脳辺縁系AROMATHERAPY & LIMBIC SYSTEM

アロマテラピーは精油によって異なりますが様々な役割を持っています。
精油の香りがどのように私たちの脳で受け止められて心と身体に作用するのか?
ここでは認知症予防と最も関連深い「嗅覚が脳の大脳辺縁系に作用するメカニズム」を
分かりやすくまとめました。


アロマテラピーには、どんな方法があるの?

アロマテラピーは大きく2つの方法に分けられます。
@芳香浴法(ほうこうよくほう):精油の香りを嗅ぐ・楽しむ。
Aトリートメント法:専用オイルで希釈した精油を使ってマッサージする。
  手・腕・足などの部分や全身などのトリートメント・マッサージ。


アロマテラピーの作用が脳に伝わる経路は2つある

  (経路1)芳香浴法
  感覚器(鼻/嗅覚)からダイレクトに脳へ伝わる。

  (経路2)トリートメント法
  皮膚や粘膜から血管に入り血液循環によって
  全身に伝わり、各器官の神経を経由し情報として
  脳に送られます。


大脳辺縁系(だいのうへんえんけい  Limbic System)とは何か?

              大きい画像はコチラ

  大脳辺縁系は大脳半球の内側にありますので
  外側から見ることはできません。
  人間の脳では情動の表出・意欲・記憶・内分泌系と
  自律神経系に関与している複数の器官の総称です。
  大脳辺縁系には、古皮質・旧皮質に属する、嗅球・
  嗅索・扁桃体・海馬などが含まれます。
  (左イラストの青い部分が大脳辺縁系です)


大脳辺縁系(だいのうへんえんけい  Limbic System)の役割とは?

大脳辺縁系は、感情や欲求など情動に関与する事から「情動脳」と呼ばれています。
特に扁桃体(へんとうたい)は外部からの刺激に対して「快・不快・恐怖」といった
反応を起こす部位で、記憶の中枢も大脳辺縁系の「海馬(かいば)」に有って、
体験や学習で得た記憶を貯蔵しています。


精油の香りが、嗅覚(鼻)から脳に伝わるメカニズム

              大きい画像はコチラ

  ここでは「経路1:嗅覚」が重要ポイント。
  精油の匂いを嗅いだとき、精油成分の分子は
  鼻の奥に有る各器官(@〜E)に伝達されます。
  @嗅上皮粘膜、A嗅毛、B嗅神経(電気信号)
  C嗅球・嗅索を経て、D大脳辺縁系に達し
  E大脳皮質の嗅覚野に伝わり「におい」として
  認知されます。


匂い成分がダイレクトに脳(大脳辺縁系)に伝わる理由

              大きい画像はコチラ

  大脳辺縁系は生物の進化論的に言うと、
  脳の最も古い部位のひとつです。
  高等動物になるほど新皮質の占める割合が
  大きくなるのに対して、大脳辺縁系の発達には
  あまり差が無く、これは大脳辺縁系がどの動物にも
  共通な機能に関係しているからです。


  嗅覚は生物の進化において視覚・聴覚よりも
  早期に発達した感覚で、匂いを嗅いだとき
  「これは何か?」と認識する前に「好き・嫌い」
  「快・不快」というような匂いに関連した記憶を
  呼び戻すわけです。嗅覚は他の感覚と違って、
  刺激が新皮質を経由せず、刺激がダイレクトに
  大脳辺縁系へ伝えられ、身体を調節するという
  特殊性が有るからなのです。


大脳辺縁系は嗅覚と最も関連性が大きな場所

最初にイラストで説明したように、大脳の中央に隠れて外側から見えないリング状の部位
「大脳辺縁系」は情動・意欲・記憶・内分泌系・自律神経系に関与しています。
また「嗅覚」との関連性が最も大きな場所です。
大脳辺縁系の機能低下は認知症や総合失調症等に深く関わると言われています。


アルツハイマー病患者に対するアロマテラピーの有用性
(鳥取大学 医学部 浦上克哉教授の論文より抜粋)

【はじめに】今日、高齢者増加に伴い、痴呆患者が増加し、ADも増加しているが、
それは、個人や家族だけでなく世界中で社会的、政治的問題となっている。
本邦では介護保険の導入により、薬物のみではなく介護の面から痴呆患者へ
アプローチする非薬物療法が注目されるようになってきた。
非薬物療法は、薬物療法や日々のケアを補う目的で行われて来たが、
最近では痴呆の予防となりえる可能性も指摘されている。
   論文の詳しい内容はこちら(PDF:132KB)


精油嗅覚刺激による唾液α-アミラーゼ活性と状態不安に及ぼす影響
(日本補完代替医療学会誌より抜粋)北海道文教大学、札幌医科大学による研究論文

              大きい画像はコチラ

  精油の香り吸入による嗅覚刺激はリラクゼーション
  の方法の一つと考えられている。スウィートオレン
  ジの嗅覚刺激後に唾液α-アミラーゼ活性と状態不安
  レベルは有意な低下を示した。ペパーミントでは、
  有意な変化はみられなかった。ある種の精油による
  嗅覚刺激によって、リラックス効果が得られる
  可能性が示唆された。
   論文の詳しい内容はこちら(PDF:312KB)


芳香浴によるパソコン作業の疲労軽減効果〜生理・心理・免疫学的指標による検討
(日本補完代替医療学会誌より抜粋)京都府立医科大学大学院、明治国際医療大学ほか

  【目的】パソコン作業を行いながら様々な種類の
  精油を吸入し生理・心理・免疫学的パラメータの
  変化と心身の疲労軽減の有無について包括的検討
  【結果・結論】精油がパソコン作業者の自律神経
  系・免疫系心理に影響を及ぼしており、精油の種
  類によっても生体反応が異なることが示唆され、
  なかでも特に「ペパーミント精油」に・・・・・
   論文の詳しい内容はこちら(PDF:848KB)


  

DSPC アロマテラピーを活用した認知症予防啓発活動を振り返って

アロマテラピーの芳香浴法は、嗅覚に刺激を与え脳の大脳辺縁系に作用して
自律神経の働きが調節され、身体の機能が整えられるという自然療法です。
心理的には、気持ちが前向きになる、心が落ち着く、リラックスする、
悲しみが軽減されるなどのプラス作用が有ります。
アロマは世界の長い歴史の中で人々の生活に役立って来ました。
しかし、日本においては認知度が低いものでした。

最近になって健康長寿への意識の高まりと共にテレビ・メディアに取り上げられ
特に鳥取大学の浦上教授の研究発表は大きな反響を呼び、広く国民に浸透し、
今では、アロマグッズは街のドラッグストアなど身近なお店でも売られています。
アロマがセルフケアに活用され、生活に根付いて来たこと(スタンダード化)を
とても喜ばしく思います。