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DSPCはシニアや障害者福祉・地域コミュニティ作りを推進

田中 利男氏TOSHIO TANAKA

DSPCは(株)産労総合研究所「田中 利男」氏をお訪ねして
2025年問題、社会保障費負担、医療体制の変化、地域医療・介護の連携
地域包括ケア、病院・医療の将来像についてお話を伺いました。

  <田中 利男氏のプロフィール>

    田中 利男(たなか としお)
    株式会社 産労総合研究所
    医療経営情報研究所

    都内病院の医事課を経験し、医療経営に関する
    メディア業界に転身。
    現在、定期刊行誌「医事業務」編集長。
    医療経営に関する研究会「全国医事研究会」など
    医療マネジメントの向上に精力的に活躍中。

  <インタビューの内容>
    @2025年問題について、日本の現状
    A日本の社会保障、医療保障の変化
    B地域における医療・介護の連携とは?
    C地域包括ケアとは?
    D介護サービス体制の変化と問題点
    E高齢者の健康寿命を延ばすポイント
    F今後の病院・医療の在り方、将来像は?
    G国際社会における日本の医療・福祉の姿

  ■産労総合研究所の情報はページ末尾をご覧下さい。


「2025年問題」について、日本の現状をどう捉えられていますか?

    ご存じのとおり、日本は世界でも類を見ないほど速いスピードで高齢化が進み
  社会保障費の増大が懸念されています。昨年、ある大学で「健康管理概論」という
  テーマについて雑誌編集者の立場から話をしましたが、次世代を担う学生にも
  「2025年問題」の関心は深まっていると感じました。
  2025年といえば昭和元年から起算してちょうど100年目にあたり「昭和100年問題」として
  一部のコンピューターに支障があるのでは? と心配されています。
  また、健康面では若年層のインスタント食品やジャンクフードを食べる習慣が定着し
  不健康な人が増えると予想されています。逆に高齢者は食に対する関心度も高く
  加齢による体力の減少は避けられないものの、生命力があり長生きする傾向であると
  言われています。このように、さまざまな情報から2025年問題は鋭い切り口で「気づき」を
  必要とされ、社会や意識の変化における「節目の年」になると思います。


「2025年問題」をきっかけに、日本の社会保障・医療保障の変化は?

    1961年にGHQの指導で国民皆保険制度が創設され、厚生労働省は2年に一度
  診療報酬改定を行い、さまざまな医療提供体制を見直して現在に至っていますが
  2025年度における社会保障給付費の総額は「144兆円」に達する見込みです。
  そのため、2025年に向けて地域医療ビジョンの策定は前倒しで行うことになりました。
  まずは2018年に@医療と介護の同時改定、A介護療養病床の廃止
  BDPC暫定調整係数の廃止(基礎係数と機能評価係数Uへの置換え)などが予定されて
  いるため、それまでに改革がどんどん進んでいくでしょう。

    また、医療の質が向上し平均寿命が延びた反面、社会構造の変化で
  今後さらに少子化が進むと、2050年頃には現在の「騎馬戦型(3対1)」から
 「肩車型(1対1)」となり、一人の若者が一人の高齢者を支えるという厳しい状況に
  なることが予想されています。

  図とグラフで読む、社会保障負担、高齢者人口の見通し、都市部の高齢化対策
  健康寿命と平均余命、医療と介護制度改革・・・「2025年問題」のページはコチラ

    今後焦点となるのは国家予算の
  圧迫による医療費削減や医療提供
  体制の変化です。
  国民に対しては・・・
  @健康保険料のアップ
  A消費税増税を受けた診療報酬の
  見直しによる自己負担額のアップ
  B海外の診療費構造(DRG/PPS等
  疾病ごとの診療費定額払方式)を
  取り入れるなど、さまざまな影響が
  挙げられます。

    国の対応策として、病院側にはICT化(DPC)を推進させて、診療報酬の支払い
 (過度な検査投薬など)や病院経営を厳しくチェックしていくことが考えられます。
  今後、IT化に対応できない病院は国の制約が厳しくなることが予想されますので
  病院経営(マネジメント)の強化が必要不可欠となるでしょう。

    身近な一例を挙げますと、200床以上の医療機関を受診した際、初診時に紹介状を
  持参しない患者は「保険外併用療養費」を支払います。
  これは健康保険が適用されない、いわゆる患者の全額自費負担になっている部分で
  今後は患者の保険外部分の費用が増えていくことも考えられます。
  そのため、病院側としては受付などにコンシェルジュを導入したり、療養環境を改善したり
  さまざまなサービスを充実させていかなければなりません。
  つまり、大規模・小規模にかかわらず、患者視点のサービスを重視した経営力のある病院が
  求められると言えます。


「地域における医療・介護の連携」とは、どのようなことなのでしょう?

    国の医療計画は医療法第30条で定められており、都道府県を単位として「医療圏」が
  設定されています。この医療計画に介護保険事業計画が加わることで、医師・看護師などを
  はじめとした医療従事者と福祉・介護関連業務の従事者等による多職種連携(情報の分割を統一)が
  構築されれば、患者の症状に対応した適切な医療を効率的に提供することができます。
  ただし、この連携システムづくりのモデル事業はあるものの、地域性によって形態が異なるため
  あくまでもそれぞれの地域で自主的なシステムを構築していかなければなりません。


医療における新しい体制「地域包括ケア」とは、どんな内容ですか?

   「地域包括ケア」とは、介護を必要とする高齢者が住み慣れた自宅や地域で暮らせる体制を
  構築するために、医療機関と都道府県が協議をして自主的に取り組み、「住まい」「医療」
 「介護」「予防」「生活支援」をバランスよく提供していく仕組みのことです。
  今後は、病床機能報告制度で報告された情報を踏まえて都道府県が地域医療ビジョンを
  策定しますので、医療機関においても積極的な取り組みが必要です。

  『地域包括ケアシステム(厚生労働省)』の概要図はこちら(PDF:608KB)

  『地域包括ケアシステム/地域の取り組み』はこちら(PDF:4.69MB)


今後、介護サービスは施設中心から在宅・通所中心へシフトチェンジされますが
どのような問題が起こるのでしょうか?

    施設入居の待機組としての在宅看護・介護の増加、単身・独居高齢者の増加(特に都市部)
  により経済格差が大きくなるため、介護難民が増えるのではないか? と、懸念されています。
  それらの問題を防ぐためには介護人材も確保しなければなりません。
  全国で潜在的な介護福祉士がたくさんいると言われていますが、現場復帰や再就職をしない
 (できない)理由はさまざまです。2025年に必要な介護福祉士は250万人と言われていますが
  さらなる待遇改善・施設運営の改革・イメージアップ・啓発活動(働きたくなるPR・教育)が
  必要だと思います。また介護保険料は現在、国が9割、利用者1割の負担ですが、将来は
  どう変わるのか? も注目です。


高齢者の「健康寿命」を延ばし、クォリティライフの向上を目指すには
どんなことがポイントだとお考えですか?

    現在、「アクティブシニア」と呼ばれる高齢者人口のうち、要支援・要介護に至らない
  元気なシニアの割合は約80%と言われています。
  昔の定年者は「家族のもとでのんびり暮らしたい」という願望が多く、身近に家族がいたことや
  平均寿命も短かったので、それなりにバランスが取れていました。
  しかし、今の定年者は「元気な時は現役で」という願望が多く、平均寿命も延びているため
  定年以降の人生は長く経済的な心配も懸念されます。

    健康維持のための仕事・社会参加・交流・人とのかかわりなど、定年後の将来設計を考え
  心身ともに健康な高齢者にとっては、収入と年金のバランスを考えた社会になってほしいと
  願うのではないでしょうか。今後、シニア人口が増えることで、2025年までにシニア市場は
  若者市場よりもっと広がることが予想されています。

  図とグラフで読む、介護予防の取組の重要性、介護認定者の推移
  要介護度別の原因割合・・・「介護予防」のページはコチラ


今後の病院・医療の在り方、将来像とは、どのようにお考えですか?

    特に、一般病院の将来像について、医療技術だけではなく、病院運営スキルが必要と
  なってきました。診療報酬改定や病床機能報告制度などに追いつけない病院は
  進退をも左右される深刻な悩みになっています。
  病院は公益性の高い事業ですが、医療と医事業務による病院運営、つまり企業と
  変わらない「経営基盤の強さ」が必要とされます。

    企業としての視点では、病院にも
  海外ファンドの介入が増えるかもしれません。
  医療技術向上のために、さまざまな学会が
  存在しますが、それと同じように、医事業務
 (医療事務)に携わる人たちの向上を目指した
  勉強会や研究会も存在しています。


    病院の社会的役割の好事例として、『医事業務』2014年6月15日号に掲載した
  記事の中からご紹介しましょう。
  福井県「済生会病院」では、病院がハローワークとの連携で、がん患者の社会復帰を図る
  就業支援を行っています。この活動は、あくまでも自主的な病院(経営側)の裁量で
  がん患者への社会参加を促す対応です。このように、地域に根付いた公益性の高い病院が
  その利点を多方面に生かすことができればいいなと思います。


最後に国際社会における、日本の医療・福祉の有るべき将来像をお聞かせ下さい。

    2020年には「東京オリンピック・パラリンピック」が開催され、2025年問題と同様に
  世界が注目しています。今から5年後、10年後を見据えると必ず世代交代の時期が待って
  いますので、人材の確保や時代を担う人たちへの啓発なども必要不可欠です。
  また、今後の日本は海外の医療マネジメント手法の応用、企業の参加による良質な
  医療・福祉サービスの競争、国民の負担増、出生率の低下など課題が山積みですが
  世界で超高齢化社会の対策国としてパイオニア的な存在となってほしいと思います。


『産労総合研究所 附属 医療経営情報研究所』のご紹介

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